塗装に不向きな屋根材”グリシェイドNEO”について解説
2023.02.22 (Wed) 更新
皆様こんにちは!
入間市・狭山市・飯能市・所沢市に地域密着の屋根リフォーム専門店 ナタリールーフです。
地域の皆様に、屋根リフォームで失敗しないために屋根に関する基礎知識をご紹介させていただきます。
屋根リフォームには、屋根塗装や屋根葺き替え工事、屋根カバー工法などがありますが、
屋根材の中には、塗装できない屋根材が存在します。
今回は、塗装できない屋根材”グリシェイドNEO”についてお話しさせていただきます。
~~塗装できない屋根材”グリシェイドNEO“とは!?~~
グリシェイドNEOとは、2001年に”クボタ(現KMEW)”から製造・販売されていたノンアスベストスレート屋根材で、ノンアスベスト屋根材として有名なコロニアルNEOと劣化症状もよく似ております。
今回は、そんなグリシェイドNEOについて解説していきます。
目次
スレートの歴史
まずは、スレートの歴史を簡単に振り返ってみましょう。
古くは、明治時代に、日本に”天然スレート”・”石綿スレート”が輸入されました。
天然スレートは、粘板岩(ねんばんがん)と呼ばれる天然の石を加工したものなので、希少価値の高い高級屋根材とされ、日本では、あまり普及していません。ちなみに東京駅の屋根は、天然スレートだそうです。
一方、セメントに石綿(アスベスト)を混ぜて圧縮成型した”石綿スレート”は、断熱性・防火性・耐久性が高く、日本の屋根建築資材として多く普及しました。
しかし、2004年(平成16年)、”労働安全衛生法施行令”の改正によって、アスベストの含有量が1%を超える建設材、資材の製造・販売が禁止され、2006年(平成18年)には、アスベスト含有量0.1%を超える石綿(アスベスト)含有製品の製造、輸入、使用等が禁止されました。
石綿が完全に規制されたのは、2004年ですが、建材メーカーは、1990年頃から石綿抜きの屋根材を製造販売していました。
これが昨今、問題になっている塗装できない屋根材です。
1990年後半〜2004年頃までに製造・施工された屋根材のほとんどは、アスベストの健康被害を危惧し、2004年に定められた規制をクリアする為に、アスベストを使用せずに製造・販売されたノンアスベスト屋根材です。
急遽、アスベストを使用しなくなった為、その時期に製造・販売された屋根材は、どのメーカーの屋根材も耐久性に乏しく、8年~10年くらいすると不具合が多く報告されはじめ、生産されなくなりました。
グリシェイドNEOもその一つです。
グリシェイドNEOの特徴
そのような背景を持つグリシェイドNEOは、2001年に”旧クボタ(現KMEW)”からアスベスト規制により使用出来なくなったノンアスベストスレート屋根材です。
グリシェイドNEOの特徴として、下部の切れ端が真っ直ぐになっており、表面にはうっすらと木目調の模様があります。
グリシェイドNEOの形状
コロニアルNEOの形状
コロニアルクァッドの形状
スレートとスレートとの間に約1cmほどのスペースが空いているのも特徴です。
グリシェイドNEOの主な症状
ヒビ割れ
アスベストが含まれていないグリシェイドNEOは、初期症状として経年と共に自然とヒビが入ってきます。
重さが加わると、すぐに割れてしまうので、屋根を調査してもらう際にも注意が必要です。
割れ
上記のヒビ割れの症状を放置しておくと、そこから割れ落ちていきます。
反り
他のノンアスベスト屋根材にも多く見られる症状の一つで経年によりスレートの端部から反り上がってきます。
層状剥離
この症状が顕著に現れることで有名なものがニチハのパミールがあります。
グリシェイドNEOは、パミールほどでは、ありませんが雨水が浸透すること下部から剥離していく症状が見られます。
いずれの症状でも屋根材の下には、二次防水であるルーフィング(防水紙)がありますので、すぐに雨漏りするわけではありません。
ですが、屋根の防水上、非常に良くない状態ですし、なにより劣化が酷くなれば屋根材の落下の危険がありますので、上記のような症状が見られた場合は、コロニアルNEOの可能性が高いので、一度専門業者に診てもらうことをオススメします。
グリシェイドNEOは、塗装出来るのか
グリシェイドNEOは、塗装出来ません。
屋根に精通していない塗装業者が、「多少のヒビ割れは補修できるので、塗装出来ますよ」などと誤った施工方法を勧めてくることがありますが、グリシェイドNEOは、塗装出来ない屋根材と題している通り塗装は、出来ません!
出来ないというよりは、塗装しても意味がないのです。
そもそも、スレート材は、セメントを主原料にしている為、基材そのものに防水性がありません。スレートは、基材の上に防水塗膜がコーティングしてあり、その防水塗膜が劣化してしまうと基材自体の劣化や苔の発生に繋がります。
グリシェイドNEOの場合、基材自体の耐久性に問題があり、経年によりヒビ割れ・欠け・層状剥離などの劣化症状が抑えられません。
塗装の塗膜は、3回塗りをしても平均膜厚、0.1mm(100ミクロン)です。身近なものでいえば、郵便切手・一万円札、人の髪の毛の太さに近い厚みになります。
グリシェイドNEOに塗装をしたところで、一時的に見栄えは、良くなるかもしれませんが、塗膜の劣化よりも早く基材が、割れだしてしまいます。
なによりも、塗装する為に職人がグリシェイドNEOの上を歩くと割れてしまいます。
どんなに慎重に施工しようとも、耐久性に乏しいグリシェイドNEOは、成人男性の体重で乗っかれば、どんどん割れてしまいます。屋根のメンテナンスどころか、症状を悪化させてしまいますので、絶対に塗装は、しないでください!
グリシェイドNEOのメンテナンス方法
以上の理由で塗装出来ない、グリシェイドNEOですが、メンテナンス方法は、大きく分けて2種類です。
屋根葺き替え工事
葺き替えとは、既存スレートを撤去して、新しい屋根材で葺き替えるメンテナンス方法です。下地から補修・点検できるため、費用は嵩みますが屋根の寿命を大きく伸ばすことができます。
グリシェイドNEOは、塗装や補修などができないので、屋根材を新しく交換するのが、最善の策です。
様々な屋根材が各メーカーから販売されていますが、スレートへの葺き替えは、おすすめしません。スレート材は、柔軟性がない屋根材なので、経年により下地に歪みや反りなどがあった場合に不具合が起きやすいです。
↓様々な屋根材について詳しく解説しています。
屋根カバー工法
屋根カバー工法は既存の屋根材の上に新しく屋根材をかぶせるメンテナンス方法です。工期が短く、廃材が少ない為、葺き替えに比べると工事費用が安く抑えられる特徴があります。
昨今、グリシェイドNEO以外にもノンアスベスト屋根材の多くがメンテナンス時期を過ぎており問題となっていますが、葺き替え工事に比べてコストが抑えられる屋根カバー工法は、非常に人気のメンテナンス方法となっています。
屋根材を被せる前に、新規のルーフィング(防水紙)を貼るので、屋根防水が二重になるメリットもあります。
デメリットとして、既存の屋根材を撤去せずに新しいルーフィング・屋根材を被せるので、屋根の重量が増してしまいますが、軽量の金属屋根材を使用することで、重さによるデメリットは、ある程度軽減されます。
↓屋根カバー工法について詳しく解説しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
現在、グリシェイドNEO以外にも多数の塗装出来ない(塗装しては、いけない)屋根材が多くの住宅の屋根材としていまだに使われています。
これらの屋根材は、リコール対象になっているものは、少なく、製品保証も10年程なので、自己負担で改修工事を行わなければなりません。
非常に心苦しいですが、早い段階で葺き替えるか、カバー工法でのメンテナンスの必要があります。
ですが、そもそもスレート屋根は、塗装できるのは、2回から3回までが良いとされています。不具合があった時期のスレートではなくても、いずれ葺き替え工事やカバー工法をしなければならなくなるのです。
現在カバー工法で主流となっている、ガルバリウム鋼板の屋根材は、非常に軽く、30年以上の耐久性があります。屋根の全面回収が早いか遅いかの問題ですので、グリシェイドNEOとわかれば早い段階で、メンテナンスしてしまいましょう。
本日は塗装できない屋根材“グリシェイドNEO”についてご紹介させていただきました。
お家の屋根材が塗装できない屋根かどうかは経験豊富な屋根工事業者であれば見極めることができます。
契約後に施工に関してトラブルが発生してしまった、屋根材の種類が分からず補修方法を決めかねている、お住いの屋根が塗装できない屋根材なのか不安といった方や、ここ数十年屋根のメンテナンスを行ったことのない方はぜひ一度ナタリールーフの無料屋根点検をご活用ください。
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